根岸の里【鍵屋】-2 [散歩]
根岸【鍵屋】。根岸の住宅街にひっそりと佇み、江戸の居酒屋風情を、平成の今に伝える店【鍵屋】。
安政3年に酒問屋として創業し、以来約150年続いている。
居酒屋の大真打ちと言ってもオーバーではない。
大正元年築の建物の暖簾をくぐると、古き昔にタイムスリップする。
開店5時、羽二重団子で一緒だった、背のスラリとした美しき母と娘の二人連れが店前で開店を待っていた。
鍵屋は女性のみの入店はお断りのルールがある。
「羽二重団子でたしか‥。」「すいません、連れということで一緒に入ってくれません?」
店の女将さんの粋な計らいで、一緒に並んでカウンターに通された。
酒は桜正宗・大関・菊正宗。枡(ます)売りキッチリ正一合。枡は計り易いように取っ手付き。
目の前にある古い燗銅壷で燗をつけてくれる。
程よくお酒がまわり話を聞くと、今日は娘さんの誕生日。根岸の名店巡りとのこと。
そして下町育ち。たまたま一緒になったのも何かの縁。
お銚子をやったり取ったり。話しが弾み、酒が進みすっかり出来上がってしまった。
「おじさん、そろそろ帰るんですか?」
「もう一軒、良かったらご一緒しません?」と、どちらからともなく言い出した。
下町育ちの飾らない母と娘。ノリの良いのでは人後に落ちない初老のおやじ。
三人は鶯谷駅近くの立ち飲みのもつ焼き【ささの家】に向かった。
楓の丸太を半分に割った分厚いカウンター。ところどころにクサビで継がれている。
お通しは北海道産の鶴娘大豆を使った【煮豆】。お銚子は白無地。江戸風はこうでなくっちゃ。
鰻の【倶利伽羅(くりから)焼き】。1日約10人限定品。50年来継ぎ足した秘伝のタレが沁み、
炭火で香ばしく焼き上げた身は、弾力ある歯ごたえで、堪らなく旨い!
名前は剣に龍が巻きつく倶利伽羅(くりから)の様に、串に刺したことから。
合鴨の塩焼き。
◎根岸【鍵屋】 台東区根岸3-6-23-18 03-3872-2227 17:00~21:00 土・日・祝日 定休
鶯谷【ささの家】。店の前は仕事帰りのディープな親父たちで、いつもの様にごった返していた。
1本70円のもつ焼きに、赤トンガラシをたっぷり付けて、次々につまんでいく。お勘定は串の数で数える。
美人母娘のまわりを親父たちが取り囲み、すぐに話の輪が出来た。掃き溜めに鶴とはこのこと。
親父 「となりのカメラぶる下げた親父さんだれ?」
母 「やだ~、私のパパよ!」
私 「‥‥‥‥。」
私 「立ち飲みやで、隣に銀座のクラブのおねえさんが付いたようなもんだね~!」
母 「おじさん、勘定高いよ~!」
親父 「エッ、へッ、ヘッ‥!」
娘も2~3人の親父相手に、道路の真ん中で丁々発止。負けていない。あ~、もつ焼きの煙が目に沁みる。
最後にメルアドを交換し、母娘と再会を約束したのは言うまでもない。
◆おまけで旨い【根岸の洋食や】も紹介します。有名人も集まる隠れた名店。純洋食が堪らない。
◎グリル【ビクトリア】 台東区根岸3-12-18 03-3873-4841 根岸小学校裏
http://www7.plala.or.jp/g-victoriya
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